電子書籍と業界分析2010

電子書籍に関して、こんな感じかと思うイメージとして新旧中抜き構造対応とグローバル企業の戦略との対応について、思うところをまとめてみた。

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根本的に、著者と読者の間に存在するものというのは、最終的な商品の利益を吸うだけの必要悪であるという考え方をする向きが多い。

右図で言うところの「中抜き」部分の取り分が少なければ少ないほど、消費者たる読者の負担は減り、クリエイターに対してのみの対価でよくなる、そういう考えだ。

Amazon.co.jpのようなネット通販モデルでは、取次・書店の箇所をスキップすることで中抜きを減らし、価格をディスカウントすることができた。電子書籍時代では、それに加えて印刷と出版の一部の中抜きをスキップさせ、著者と読者を直接仲介する為の、ネットサービスに対する対価が「中抜き」代金となる。

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そういった意味では、表の下ほど、その中抜き代金が安いものとなり読者にとって優秀なサービスであり、無料まであるPubooのようなものやJコミのようなダイレクト経路を、市民目線では優遇していくべきなのだろう。あくまで、「中抜き」部分=「悪」が真であるならば、だ。

ただ、もっと経路を詳しく見ていくと、左のようなさまざまな経路や軋轢が生じている様が見て取れる。

そもそも出版させてもらえるかどうかという、官公庁的に言えば「許認可」の部分が、上図の「ブレイクスルー」の部分で迂回できたり、あるいは、オレンジのような「新たな許認可」部分の発生により生じる「ブレイクスルー」迂回経路などを見るにつけ、その利害関係や参加者の互いに対する思惑は非常に複雑であることは予想に難くない。

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右図の中核たる出版社の力は強いものだった。

実際には、消費者見えで一定以上の品質を選定したり、宣伝・広告したり、メディアミックスを企画したり、新しい配信・閲覧のあり方やハードウェアPFを提示する活動や、さらには、「雇用の受け皿」という意味で、必ずしも旧来構造が駄目だとは、業界の人間ではなく利害や軋轢・既得権益と(比較的)無縁の俺の目に映っていない。

とはいうもののの、こうしてリソースや依存関係を図示すれば当然気が付くことはある。即ち、AppleにしてもGoogleにしてもAmazonにしても、これら中核たる強みを十分理解・分析して、弱い部分であった箇所だとしても戦略的にイノベーターとして、新しい形で手を伸ばしてきた事、だ。

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前述の出版社のリソースに対応する形として、左図のようになっている。つまりは、グローバルに中核となるトータルポジションを確保しようということだ。

音楽部分はiTunesなどでカバーしてきたし、AmazonにしてもMP3で後発ながら揃えてきた。Googleも遠からず音楽ストアを立ち上げるだろう。

映像についても、尖閣流出映像で、いまや高年齢ですら知ってるYouTube。Appleもレンタル機能も備えたiTunes&AppleTVやAirPlayプラットフォームでカバーする。

宣伝については、Googleの検索シェアによるネット宣伝。そういうシェア的な意味では手を伸ばし難いはずのAppleも、一応、その役割を知っているからこそAdsに手を出してくる。

そして、メーカー部分だがiOSやAndroidなどのPFを以て、自社、もしくは世界のハード・ソフト・ゲーム・etc.メーカーにアウトソースする形で強固にイノベーターとして浸食していく。生産のリスクは徹底してPF参画他社で共食いさせたり、海外(BICSとか)にアウトソースする。

最後に販売部分についても、Apple StoreやAmazonについては本に限らず手広く手掛け、消費者~ロジに至る経路を抑える。

とまあ、掲題については、こんな感じの状況だ。

さて、冒頭に戻り国内企業を振り返って、どうだろう。まともなグローバル・ビジョンを描ける枠組みはありそうか?個々の分野だけしか見えていないことはないのか?過当競争しようとしてないか?日本みたいな縮小市場だけしか見えてないことはないのか?

私見では全方位で対抗しようとしたら、冒頭の表のすべての企業で統一しないと、話にならない。だが、そういったことが自然発生するにしては、日本は財閥解体の歴史的にも、省益の絡まないことに対する国の関与のなさっぷりの構造的にも、小規模での過当競争と縦割りをさせすぎた。

さらに言えば、ものづくりの一兵卒としての教育的に、「均一な”労働者”」を生み出す教育コースのみがフォーカス・用意されている時代が長く、未だに続いているため、あまり戦略的な考えが生まれてこない国になってしまった。

これが、日本企業がガラパゴスで、グローバル寡占に育ちにくい一因であり、経営陣に外国人を据えるとよい、主な理由だ。

そう、思うのであった。


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