電子書籍と業界分析2011

去年の年末年始にかけて電子書籍に関して興味を持った際に、『紙媒体出版モデルの崩壊?』と題して自炊問題について書いた。その際の締めとして、権利の主張の形として

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  • 政治家への働き掛けによる法改正
  • 起訴
  • 新しいビジネスモデルでの対応
  • 電子出版への切り替え

などをはじめとして、著作権保持者や出版社が自分自身の権利の保全のために考え、行動すべきとした。

そんな昔のことを思い出したのは、今日のニュースで著名作家たちが集団で自炊代行業を営む2社に対して訴えを起こしたことが報道されていたからだ。あれから一年ほど経とうとしているが、どうやら、権利保持者たちは起訴を選択したらしい。

しかし状況は刻々と変化しており、今では一年前とは違う状況が生まれつつある。

それは、以下のTPPやFTAという国際的な枠組みと外交レベルでの政治力をともなった、電子書籍のグローバル・プラットフォームマスターという黒船来航シナリオだ。

  1. TPPやFTAによる著作権法の変化の可能性(著作者が権利を生涯保持するのではなく、出版社が権利を買い取る形式への移行)
  2. 電子書籍と業界分析2010』の状況から進まない淘汰と国内統合
  3. Amazonが国内出版社に突き付けた電子書籍代理販売での”不平等条約”やAppleなどの高い手数料問題
  4. 海外グローバル・プラットフォームマスターの大きすぎる情報影響力

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碁ではないが、著作権保持者や国内出版業者が、狭い国内で『電子書籍と業界分析2010』に記載したような国内小規模過当競争で半目を争ったり電子化そのものの是非を考えているうちに、大局的には、広い地合いの多くが掻っ攫われようとしている・・・そういう状況というわけだ。(左図の土台部分の権益の事ね)

作家はTPP/FTAのような多国間国際基準の名の下に著作権を失い、出版業者はグローバルプラットフォームマスターが用意する枠組みを利用する”高い手数料”で利益を持って行かれ、利益を吸われる構図が想像できるだろうか。

今日、遅ればせながらステークスホルダーたちが権利保持の行動を起こしたことは一定の評価をしないでもない。だが如何せん、今日のニュースで会見していた著名作家たちの年齢や個人レベルでは対応できない程度には時代の流れが早すぎるし、国の関与も戦略も、さらに言えば業界プラットフォーム統合の動きも無さ過ぎる。

やっぱ海外勢、とりわけアメリカの政治・経済が一体となった、様々な側面からのネゴシエーションは、気が付くと不利な立場に追いやられていて厄介だな。

こういった地の取られ方は、昔は農業や産業分野のみであったが、電子書籍やITCで技術が絡んだことにより、出版業界もまた、他業界が「かつて通った道」を進まされようとしているようだ。


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